呪術とは?言葉の意味と種類をわかりやすく解説【民俗・文化】
呪術(じゅじゅつ)とは何か。その言葉の意味や、類感呪術・感染呪術といった種類、日本の陰陽道や祈祷との関わりを、民俗・文化の視点からわかりやすく解説します。実際の実行を勧めるものではありません。
文・三森 捷暉

「呪術」と聞くと、人を呪う恐ろしい術というイメージが先に立つかもしれません。けれど本来この言葉は、もっと広く、人類が超自然的な力とどう向き合ってきたかを表す、奥深い概念です。
この記事では、呪術とは何か、その言葉の意味と種類を、語源や善悪の分類、宗教・科学との関係までさかのぼって、あくまで民俗・文化の話として解説します。実際に呪術を行うことを勧めるものではありません。最後に、恨みや呪いの感情との向き合い方についても触れます。
呪術とは何か(言葉の意味)
呪術(じゅじゅつ)とは、超自然的な力に働きかけて、望む結果を得ようとする行為や技術の総称です。人を害する「呪い」だけを指すわけではありません。病を治す、豊作や雨を願う、災いから身を守る——こうした幅広い目的を含み、世界中のあらゆる文化に見られます。宗教や医療の起源とも深く関わっており、人類学や民俗学の重要な研究テーマとして扱われてきました。呪術は、恨みや妬みといった強い情念、何かをどうしても叶えたいという深い欲求と結びついた、きわめて人間らしい文化現象でもあります。
「magic」の訳語 — 呪術という言葉の由来
じつは「呪術」という言葉は、英語の「magic(マジック)」の訳語として近代に整えられたものです。そのmagicの語源は、古代ペルシアの祭司・呪術師を意味する「magus(マグス)」にさかのぼるとされます。東方の神官が操る神秘的な技への畏れが、そのまま「魔術」を表す言葉になっていったのです。つまり私たちが「呪術」と呼ぶものは、日本固有の概念というより、人類に広く共通する営みを、東西の言葉がそれぞれにとらえてきた、その一つの訳語だと言えます。
呪術の代表的な種類 — 類感呪術と感染呪術
呪術を体系的に整理したことで知られるのが、イギリスの人類学者ジェームズ・フレイザーです。彼は著書『金枝篇(きんしへん)』で、離れたものが目に見えないつながりで影響し合うという考えを「共感呪術(きょうかんじゅじゅつ)」と呼び、これをさらに二つに分けました。一つは「類感呪術(るいかんじゅじゅつ)」で、似たものは似たものに作用すると考えるもの。雨乞いのために水を撒く、相手に見立てた藁人形に働きかける、といった発想がこれにあたります。もう一つは「感染呪術(かんせんじゅじゅつ)」で、かつて接触したものは離れても影響し合うと考えるもの。相手の髪や爪を用いる発想がこれです。実際の民間信仰では、この二つが組み合わさっていることも少なくありません。
白呪術と黒呪術 — 善悪による分類
呪術は、その目的が善か悪かによっても分けられます。人を癒やし、守り、幸いをもたらすために行う呪術を「白呪術(ホワイトマジック)」、人を害し、災いをもたらすために行う呪術を「黒呪術(ブラックマジック)」と呼びます。人を呪う「呪い」は、この黒呪術に位置づけられるものですが、両者は道具や作法の面で地続きであることも多く、同じ術が使い手の意図しだいで善にも悪にも転じうる、とも考えられてきました。黒魔術については黒魔術とは何かで詳しく解説しています。
呪術と宗教・科学の関係
フレイザーは、人類の思考が「呪術 → 宗教 → 科学」という順で発展したと考えました。呪術を、自然を法則によって意のままに操ろうとする「擬似科学」ととらえたのです。もっとも、この図式には批判も多く、呪術と宗教のどちらが先かについては「呪術が先」「宗教が先」「両者は別のもの」など、研究者のあいだで今も議論が続いています。一般には、神仏に願い祈る「祈祷」に対し、呪術は一定の作法によって直接結果を引き起こそうとする傾向が強い、と整理されますが、その線引きは実際にはあいまいです。
日本における呪術 — 陰陽道と祈祷
日本では、呪術は独自の発展を遂げてきました。よく知られるのが、平安時代に隆盛した陰陽道(おんみょうどう)です。陰陽師は暦や占い、方位の吉凶を扱い、災いを避け、時には呪法も行うとされました。ほかにも、寺院で行われる加持祈祷(かじきとう)、山岳での修行に根ざした修験道(しゅげんどう)、身を守るための護符やまじないなど、日本の呪術文化は多彩です。人を害する呪いは、こうした多様な呪術のなかの、ごく一部の側面にすぎません。日々の暮らしに息づいた呪術についてはまじないとは何かもあわせてご覧ください。
「呪いたい」気持ちも、まず言葉にしてみる
呪術の歴史をたどると見えてくるのは、人間が古くから、自分の力ではどうにもならない不安や怒り、恨みと格闘してきたということです。誰かを呪いたくなるほどの感情も、その延長線上にあります。
けれど、その感情を実際の術や行動に向ける必要はありません。呪い日記は、そうした「誰にも言えない呪い」を、そっと書いて手放すための私的なアプリです。書いた言葉は誰にも見られず、相手を巻き込むこともありません。行き場のない恨みや怒りを、まずは自分だけの場所に書き出して、少しずつ胸から降ろしていきましょう。外に出すほど、その重さは軽くなっていきます。
呪いにまつわる言い伝えについては、呪い返しとは何かもあわせてご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q.呪術とはどういう意味ですか?
呪術(じゅじゅつ)とは、超自然的な力に働きかけて、望む結果を得ようとする行為や技術の総称です。人を害する「呪い」だけでなく、病を治す、雨を願う、身を守るといった幅広い目的を含みます。世界中のあらゆる文化に見られ、宗教や医療の起源とも深く関わる、人類学の重要な研究テーマです。
Q.呪術にはどんな種類がありますか?
人類学者フレイザーの整理では、似たものは似たものに作用すると考える「類感呪術」(藁人形など)と、かつて接触したものは離れても影響し合うと考える「感染呪術」(髪や爪を使うなど)の二つが代表的とされます。実際の民間信仰では、この二つが組み合わさっていることも多くあります。
Q.呪術と宗教・祈祷はどう違うのですか?
厳密な線引きは難しく、研究者の間でも議論があります。一般には、神仏に願い祈る「祈祷」に対し、呪術は一定の作法によって直接結果を引き起こそうとする傾向が強いとされます。日本では陰陽道の呪法や寺社の祈祷など、両者が入り混じって発展してきました。
この記事を書いた人
三森 捷暉みつもり かつき
株式会社スリスタ 代表/ドヤマーケAI 運営
実務で使えるAIサービス群「ドヤマーケAI」を運営し、記事・広告・営業・人事からAI検索可視化までを手がける。YouTubeチャンネル『SaaSは死にましぇん』を発信。感情を書いて手放すアプリ「呪い日記」の企画・開発者。
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