寝不足でイライラする悪循環。夜の感情を書いて整える
寝不足で些細なことにイライラし、そのイライラでまた眠れない。この悪循環から抜けるために、夜のうちに高ぶった感情を書き出して整えるセルフケアをご紹介します。睡眠不足が感情に及ぼす影響についての研究にも触れます。
文・三森 捷暉

寝不足の朝は、ちょっとしたことで神経が逆立つ。返信の遅れ、思い通りにいかない予定、家族の何気ない一言——ふだんなら流せることに、いちいち腹が立つ。そして夜になると、日中溜め込んだ苛立ちが頭の中で再燃し、気持ちが高ぶって眠れない。翌朝はさらに寝不足で、もっとイライラする——気づけば、そんな悪循環にはまり込んでいた、ということはないでしょうか。
寝不足とイライラの悪循環がやっかいなのは、原因と結果が互いを増幅し合う点です。眠れないからイライラし、イライラするからまた眠れない。この記事では、その輪を断つために、夜のうちに高ぶった感情を書いて整えるセルフケアをご紹介します。
寝不足だと怒りっぽくなるのはなぜか
寝不足で些細なことに苛立つのは、多くの場合、睡眠が足りないと「感情のブレーキ役を担う脳の働きが弱まる」からだとされています。睡眠研究では、睡眠不足の状態ではネガティブな出来事に対する脳の反応が強まる傾向が報告されています。つまり、ふだんなら受け流せる小さな刺激にも過敏になり、怒りや苛立ちが実際以上に大きく湧いてしまうのです。
やっかいなのは、その高ぶった感情が、夜の寝つきをさらに妨げることです。日中のイライラを頭の中で何度も再生する「反すう」が始まると、興奮が収まらず、目が冴えてしまいます。すると睡眠がまた削られ、翌日はいっそう怒りっぽくなる。寝不足の日に短気になるのは、あなたの性格の問題ではなく、脳が疲れているサインです。まず、そう理解するだけで、自分を責めずに済みます。
夜のうちに高ぶった感情を書き出す
この悪循環を断つうえで役に立つのが、夜のうちに、イライラの引き金になった出来事と気持ちを書き出すことです。「あの一言にカチンときた」「予定通りいかなくて焦った」——高ぶった感情を、頭の中で反すうする代わりに、紙やスマホに外へ出します。
書き出す効果は、興奮に区切りをつけやすくなることにあります。頭の中にあるうちは、苛立ちは何度も再生され、そのたびに気持ちがぶり返します。けれど一度言葉にして外に置くと、「今日はこれに腹が立ったんだな」と、巡っていたものに終わりの目印がつきます。うまくまとめる必要はありません。乱暴な言葉のまま、怒りをそのままぶつける形で構いません。
無理に寝ようとせず、まず興奮を鎮める
イライラして眠れないとき、無理に寝ようと焦ると、今度は「眠れない」こと自体への苛立ちが重なり、ますます目が冴えてしまいます。どうしても寝つけないときは、いったん布団を出て、高ぶった気持ちを数分書き出すなど、興奮を鎮めることに意識を向けるほうがよいとされています。
書いて気持ちを外に出したら、照明を落とし、ゆっくり呼吸を整えます。眠気が戻ってきてから、もう一度横になってください。「早く寝なければ」という焦りを手放すことが、結果的に寝つきを助けます。感情を溜め込んだまま布団に入るより、一度降ろしてから休むほうが、悪循環の輪をゆるめることにつながります。
寝不足とイライラが続くときは
ここで紹介したのは、あくまで日常のセルフケアです。十分に眠っているつもりでも疲れが取れない、イライラや気分の落ち込みが長く続いて仕事や人間関係に支障が出る——こうしたときは、我慢せず心療内科や睡眠外来などの専門家に相談する目安とされています。寝不足とイライラが何週間も続くのは、体や心からのサインのこともあります。相談することは決して大げさなことではありません。
「呪い」の言葉のままぶつけていい
イライラを前向きに切り替えよう、感謝で気持ちを整えよう——そうした作法は、神経が逆立っている夜には難しいものです。無理に鎮めようとするより、湧いた怒りをそのまま外に出してしまうほうが、気持ちは早く静かになります。
呪い日記は、そんな夜のためのアプリです。きれいごとにせず、日中溜め込んだ苛立ちや呪いの言葉を、そのままの形で吐き出してよい場所として作りました。書いた言葉は誰にも見られず、あなたの中だけにとどまります。誰かにぶつける前に、高ぶった感情をここで降ろす。それが、寝不足とイライラの輪を断つための一歩になります。
参考文献
- Yoo, S. S., Gujar, N., Hu, P., Jolesz, F. A., & Walker, M. P. (2007). The human emotional brain without sleep — a prefrontal amygdala disconnect. Current Biology, 17(20), R877–R878. 睡眠不足の状態では、ネガティブな刺激に対する脳(扁桃体)の反応が強まる傾向を示した研究。
FAQ
よくある質問
Q.寝不足だと、なぜ些細なことでイライラしやすくなるのですか?
睡眠が足りないと、感情のブレーキ役を担う脳の働きが弱まり、ネガティブな出来事に対する反応が強まりやすいとされています。ふだんなら受け流せる小さな刺激にも過敏になり、怒りや苛立ちが実際以上に大きく湧いてしまいます。寝不足の日に短気になるのは、性格の問題というより、脳が疲れているサインです。
Q.寝不足とイライラの悪循環を断つには、どうすればいいですか?
まず、イライラの引き金になった出来事と気持ちを、夜のうちに紙やスマホに書き出してみてください。高ぶった感情を頭の中で反すうし続けると、興奮が収まらず寝つきをさらに妨げます。一度言葉にして外に出すことで、気持ちに区切りがつき、眠りに入りやすくなることがあります。
Q.イライラして眠れないとき、無理にでも寝ようとするべきですか?
無理に寝ようと焦ると、かえって「眠れない」ことへの苛立ちが重なり、目が冴えてしまうことがあります。どうしても寝つけないときは、いったん布団を出て、高ぶった気持ちを数分書き出すなど、興奮を鎮めることに意識を向けるほうがよいとされています。眠気が戻ってきてから、もう一度横になってください。
Q.寝不足とイライラが何週間も続くときは相談したほうがいいですか?
十分に眠っているつもりでも疲れが取れない、イライラや気分の落ち込みが長く続いて仕事や人間関係に支障が出るといったときは、心療内科や睡眠外来などの専門家に相談する目安とされています。ここで紹介する方法は日常のセルフケアであり、睡眠障害や気分の問題の診断・治療に代わるものではありません。
この記事を書いた人
三森 捷暉みつもり かつき
株式会社スリスタ 代表/ドヤマーケAI 運営
実務で使えるAIサービス群「ドヤマーケAI」を運営し、記事・広告・営業・人事からAI検索可視化までを手がける。YouTubeチャンネル『SaaSは死にましぇん』を発信。感情を書いて手放すアプリ「呪い日記」の企画・開発者。
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