評価される同僚が妬ましい。黒い気持ちを書いて認める
同僚ばかりが褒められ、認められる。祝福したいのに、心の底で湧く妬みが苦しい。職場の嫉妬という「黒い気持ち」を否定せず、書き出して認め、手放す方法を紹介します。
文・三森 捷暉

朝礼で名前を呼ばれ、上司に褒められている同僚。同じ時期に入ったはずなのに、いつの間にか差がついている。「すごいね」「おめでとう」——口ではそう言いながら、胸の奥では別の言葉がうずいている。「なんであの人ばかり」。祝福したい気持ちと、認めたくない妬みが、心の中でせめぎ合う。
そして家に帰ってから、今度は妬んでしまった自分を責めはじめます。「人の成功を喜べないなんて、自分は心が狭い」。妬みそのものより、妬む自分への嫌悪のほうが、じわじわと自分を追い詰めていく。この記事では、職場で湧く「黒い気持ち」を否定せず、書いて扱う方法をご紹介します。
妬みは「心が狭い」から湧くのではない
まず知っておきたいのは、嫉妬は決して特別に心が狭い人だけの感情ではない、ということです。嫉妬は、自分が本当は大切にしたいもの、認められたいという願いがあるからこそ湧く感情だとされています。
つまり、同僚の評価に妬みを感じるのは、「あなたもまた、その仕事で認められたいと願っている」ことの裏返しです。どうでもいい相手のどうでもいい成功には、人は妬みを感じません。妬ましいということは、それがあなたにとって大切な領域だという証拠なのです。
だからこそ、妬む自分を責めるのは的外れです。責めるべき欠点ではなく、「自分が何を大切にしているか」を教えてくれる信号として、その感情を受け取り直すことができます。
「黒い気持ち」をそのまま書き出す
妬みがつらいのは、多くの場合、それを「感じてはいけない感情」として押し込めようとするからです。押し込めた感情は消えず、かえって形を変えて、自己嫌悪や八つ当たりとして噴き出します。
そこで有効なのが、その黒い気持ちを、誰にも見られない場所にそのまま書き出すことです。「ずるい」「なんであの人ばかり」「正直、失敗すればいいのにと思った」——きれいごとにせず、心に浮かんだ言葉のまま書いてかまいません。誰にも見せない前提だからこそ、飾らない本音を出しきれます。
書き出しているうちに、多くの人が気づきます。妬みの下に隠れていたのは、相手への悪意ではなく、「自分も同じように認められたい」「自分の頑張りも見てほしい」という切実な願いだった、ということに。黒い言葉を全部出しきると、その奥にある本当の気持ちが顔を出します。
感情と行動を切り分ける
妬みで一番避けたいのは、その感情を同僚への態度ににじませてしまうことです。冷たくあたる、成果を認めない、陰で悪く言う——こうした行動は、相手との関係を壊すだけでなく、あとから自己嫌悪となって自分に返ってきます。
ここで大切なのが、感情と行動を切り分けるという考え方です。妬むこと自体は止められません。しかし、その感情を相手にぶつけるかどうかは、あなたが選べます。妬みは誰にも見られない日記に吐き出し、相手には普段どおり接する。感情の発散先をあらかじめ分けておくと、黒い気持ちを抱えたままでも、関係をこじらせずにすみます。
妬みを「自分の伸びしろ」に翻訳する
妬みを書き出して落ち着いてきたら、最後に一つだけ問いを立ててみてください。「私は、あの人の何を妬んでいるのだろう」。その答えの中に、あなたがこれから伸ばしたい方向のヒントが隠れています。
相手のプレゼン力が妬ましいなら、あなたも人前で伝える力を大切にしている。相手の評価が妬ましいなら、あなたも正当に認められたいと願っている。妬みは、他人と比べて自分をすり減らす道具にもなれば、「自分が本当に望んでいること」を教えてくれる地図にもなります。どちらに使うかは、感情を書いて整理したあとで選べます。
落ち込みが続くときは無理をしない
妬みをきっかけに一時的に落ち込むのは自然なことですが、それが長く続く場合は注意が必要です。自己否定が強まり、気分の落ち込みや不眠が2週間以上続く、仕事に集中できないといった状態が重なるときは、一時的な感情を超えているサインかもしれません。
そんなときは、一人で気持ちを立て直そうと無理をしなくて大丈夫です。産業医や心療内科、社内外の相談窓口など、専門家の力を借りることを前向きに考えてください。
「呪い」の形で、妬みを吐き出していい
人の成功を素直に喜ばなければ、と自分に言い聞かせても、本気で妬んでいるときに感情は言うことを聞きません。無理に祝福の言葉で上書きするより、湧いた妬みをそのまま書いて、頭の外に出してしまうほうがずっと楽になります。
呪い日記は、そんな日のためのアプリです。前向きに変換する必要はありません。職場で飲み込んだ黒い気持ちを「呪い」という形のまま吐き出してよい場所として作りました。書いた言葉は誰にも見られず、相手を巻き込むこともありません。妬みは、隠すほど濃くなり、認めるほど軽くなります。今日の黒い気持ちは、今日のうちに書いて認め、そっと手放してしまいましょう。
参考文献
- Pennebaker, J. W. (1997). Writing about emotional experiences as a therapeutic process. Psychological Science, 8(3), 162–166.(感情や経験を文章に書き出す筆記開示が、心身のストレス軽減につながることを示した代表的な研究)
FAQ
よくある質問
Q.同僚に妬みを感じてしまう自分は、性格が悪いのでしょうか?
そうとは限りません。嫉妬は、自分が本当は大切にしたいものや、認められたいという願いがあるからこそ湧く感情だとされています。妬みそのものは自然な心の反応であり、それを感じる自分を責める必要はありません。問題は感情の有無ではなく、その扱い方です。
Q.職場の嫉妬を和らげるにはどうすればいいですか?
まず、妬みを打ち消そうとせず「今、自分は妬んでいる」と認めることから始めます。そのうえで、誰にも見られない場所にその黒い気持ちを書き出すと、感情の圧が抜けます。書くことで、妬みの下に隠れていた「自分も認められたい」という本当の願いが見えてくることが多いです。
Q.妬みで同僚に冷たくしてしまいそうです。どうすれば?
感情と行動を切り分けるのがポイントです。妬むこと自体は止められませんが、その感情を相手にぶつけるかどうかは選べます。妬みは誰にも見られない日記に吐き出し、相手には普段どおり接する。感情の発散先を分けておくと、関係をこじらせずにすみます。
Q.嫉妬で気分の落ち込みが続く場合はどうすればいいですか?
妬みをきっかけに自己否定が強まり、気分の落ち込みや不眠が2週間以上続く、仕事に集中できないといった状態が重なるときは、一時的な感情を超えている可能性があります。無理に気持ちを立て直そうとせず、産業医や心療内科など専門家への相談を検討してください。
この記事を書いた人
三森 捷暉みつもり かつき
株式会社スリスタ 代表/ドヤマーケAI 運営
実務で使えるAIサービス群「ドヤマーケAI」を運営し、記事・広告・営業・人事からAI検索可視化までを手がける。YouTubeチャンネル『SaaSは死にましぇん』を発信。感情を書いて手放すアプリ「呪い日記」の企画・開発者。
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