除霊とは?お祓いとの違いと、費用の前に知っておきたいこと
除霊とは、人や物に憑いたとされる霊を取り除くこと。実は『デジタル大辞泉』にしか立項されていない近代の語で、神道の「祓」とは対象概念が異なります。お祓い・加持祈祷との系統の違い、そして霊感商法の相談件数と不当寄附勧誘防止法まで、公的資料をもとに整理しました。
文・三森 捷暉

ただし、この語には知っておくとよい前提があります。除霊は古典語ではありません。『精選版 日本国語大辞典』には立項がなく、載っているのは『デジタル大辞泉』だけ。近代以降に広まった比較的新しい言葉です。そして検索すると、上位のほとんどが業者のページになります。この記事では、言葉の位置づけと、公的な資料が示していることを整理します。
除霊 早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 読み方 | じょれい |
| 意味 | 人や物に取り憑いたとされる霊を取り除くこと |
| 辞書の扱い | 『デジタル大辞泉』のみに立項。古典語ではない |
| お祓いとの違い | 祓=穢れを除く(霊を前提としない)/除霊=霊を前提とする |
| 仏教での呼び方 | 加持祈祷 |
| 費用 | 確たる相場はない。寺院が明示する例は少数 |
| 注意 | 霊感商法の相談は年1,000〜1,500件台。法規制あり |
「祓」と「除霊」は、対象が違う
もっとも整理しておきたいのがここです。
神道の「祓(はらえ/はらい)」は、罪や穢れを除く儀礼です。記紀の伊弉諾尊が檍原(あわぎはら)で行った禊祓に起源を持ち、律令下では大祓として国家儀礼になりました。対象は穢れであって、霊ではありません。
対して除霊は、霊が憑いている前提で、それを取り除く行為です。仏教側では同種の行いを「加持祈祷」と呼びます。
| 対象 | 系統 | |
|---|---|---|
| 祓(お祓い) | 罪・穢れ・災厄 | 神道 |
| 加持祈祷 | 霊・障り | 仏教 |
| 除霊 | 憑いた霊 | 近代語。両者にまたがる |
ただし正直に書いておくと、除霊を神仏いずれかに明確に位置づける辞書上の典拠はありません。上の整理は、辞書と各宗派の用語法から導いたもので、定説として確立しているわけではありません。
なお祓については、「はらえ」=他から祓ってもらう/「はらい」=自ら祓うという語形の使い分けが辞典に記されています。ここはお祓いの記事で詳しく扱っています。
費用に「相場」はない
「除霊の相場は◯万円」と書くページは多いですが、その数字の出どころはたいてい二次情報です。寺院自身が金額を示す例は多くありません。
数少ない明示例として、一心寺は「お気持ち、最も多いのは5,000円程度」「塔婆料 4尺3,000円/6尺5,000円」と公開しています。同時に、お布施は対価ではなく、金額の多寡で効果は変わらないという枠づけも明記しています。
この「対価ではない」という考え方が、実は最も重要な判断基準になります。金額と効果が比例するかのように説明されたら、その時点で本来の枠組みから外れています。
知っておくべき数字 ― 霊感商法の相談件数
このテーマを扱ううえで、避けて通れない事実があります。消費者庁の資料による、霊感商法(開運商法)の消費生活相談件数です。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2017年度 | 1,424件 |
| 2018年度 | 1,559件 |
| 2019年度 | 1,312件 |
| 2020年度 | 1,177件 |
| 2021年度 | 1,435件 |
そして2021年度の平均契約購入金額は約113万円、中央値は約21万円。平均が中央値の5倍を超える——つまり、少数の非常に高額な被害が平均を押し上げているということです。同年度は「占い・祈とうサービス(インターネット通信販売等)」が54.4%を占め、最大の項目でした。
2022年には不当寄附勧誘防止法(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)が成立・施行され、霊感等による困惑を用いた勧誘は禁止されました。該当する契約や寄附は取り消せる場合があります。
困ったときの相談先は、消費者ホットライン 188(局番なし)です。
判断のための線引き
除霊そのものを否定する必要はありません。長く続いてきた作法には、それなりの働きがあります。問題は、そこにつけ込む形が存在することです。
注意したほうがよい場面- その場で決めるよう急かされる
- 「祓わないともっと悪くなる」と不安を強める説明がある
- 金額が高いほど効果があると説明される
- 段階的に追加の費用を求められる
- 家族や周囲に相談しないよう言われる
いずれも、伝統的な祓えの作法とは相容れません。神社の祈祷が初穂料を先に公開しているのは、そういう構造にならないためでもあります。
自分でできること
民間には、費用のかからない作法も伝わっています。塩をまく、大祓詞を唱える、写経をする、お札を受けて祀る、厄落としをする。
ただし「これで確実に霊が取れる」と言い切れるものではありません。そして、不調が続いているなら、まず体と心の側を診てもらうのが確実です。眠れない、気分が晴れない、体が重い——これらには、霊とは別の説明がつくことが多くあります。
抱えたまま戦わない
除霊という営みを言葉の側から見ると、「祓う」より「離す」に近い発想だと分かります。抱えたまま戦うのではなく、いったん自分から離す。
同じ考え方は、感情にも使えます。名前のつかない重さを抱えたまま日常を続けるより、一度外に置いて眺めてみるほうが軽い。書くという行為は、そのいちばん手軽な形です。
心のデトックスのやり方や書き出すと軽くなる理由もあわせてどうぞ。
出典・参考
- 『デジタル大辞泉』小学館(「除霊」の項)/『精選版 日本国語大辞典』ほか(「祓」の項)
- 消費者庁「霊感商法に関する消費生活相談について」(2022年8月26日)
- 消費者庁「不当寄附勧誘防止法」/政府広報オンライン
- 一心寺 公式サイト(費用の考え方について)
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FAQ
よくある質問
Q.除霊とは何ですか?
『デジタル大辞泉』は「人や物に取り憑いたとされる霊を取り除くこと」と定義しています。ただし『精選版 日本国語大辞典』には立項がなく、古典語ではありません。近代以降に広まった比較的新しい語です。
Q.除霊とお祓いはどう違いますか?
対象とする概念が違います。神道の「祓」は罪や穢れを除く儀礼で、霊が憑いていることを前提としません。除霊は霊が憑いている前提で、それを取り除く行為です。仏教側では同種の行いを「加持祈祷」と呼びます。ただし除霊を神仏いずれかに明確に位置づける辞書上の典拠はなく、ここは整理であって定説ではありません。
Q.除霊の費用の相場はいくらですか?
確かな相場はありません。金額を語るページの大半は二次情報です。寺院自身が示している例は少数で、たとえば一心寺は「お気持ち、最も多いのは5,000円程度」「塔婆料 4尺3,000円/6尺5,000円」と明示しつつ、お布施は対価ではなく金額の多寡で効果は変わらないという枠づけをしています。
Q.高額な除霊を勧められたときはどうすればいいですか?
消費者庁や国民生活センター、消費者ホットライン188に相談できます。2022年に施行された不当寄附勧誘防止法により、霊感等による困惑を用いた勧誘は禁止され、契約や寄附を取り消せる場合があります。その場で決めず、いったん持ち帰ることが大切です。
Q.自分で除霊できますか?
民間には塩をまく、大祓詞を唱える、写経をするといった作法が伝わっており、いずれも費用はかかりません。ただし「これで確実に霊が取れる」と言い切れるものではありません。不調が続くときは、まず体と心の側を医療機関で診てもらうのが確実です。
この記事を書いた人
三森 捷暉みつもり かつき
株式会社スリスタ 代表/ドヤマーケAI 運営
実務で使えるAIサービス群「ドヤマーケAI」を運営し、記事・広告・営業・人事からAI検索可視化までを手がける。YouTubeチャンネル『SaaSは死にましぇん』を発信。感情を書いて手放すアプリ「呪い日記」の企画・開発者。
この記事は民俗・言葉・文化の解説です。医療・法律・宗教上の助言ではありません。伝承は文化として紹介するもので、他者を害する手順を推奨するものではありません。出典のない通説は「俗説」と明記しています。
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