健康の不安で考えすぎる。堂々巡りを止める書き方
ちょっとした体の違和感が気になって検索を止められない、悪い病気ではと考えすぎて眠れない。そんな健康の不安のループを、書き出して事実と想像に切り分け、堂々巡りを止める方法をご紹介します。医療の断定はせず、受診の目安にも触れます。
文・三森 捷暉

胸のあたりが少し重い気がする。指先がしびれるような感覚があった。ふと気になった小さな違和感が、いったん頭に引っかかると離れなくなる。「これはもしかして」と検索窓に症状を打ち込み、出てきた深刻な病名を見て心臓が跳ねる。そこからさらに検索を重ね、気づけば夜中まで最悪の可能性ばかり読み続けている——そんな経験はないでしょうか。
健康の不安がやっかいなのは、体の感覚という「確かめにくいもの」が相手だからです。考えれば考えるほど、想像は確信のように育っていきます。この記事では、そうした健康の不安で考えすぎてしまう人へ、書き出して事実と想像を切り分け、堂々巡りを止める方法をご紹介します。症状そのものの診断はできませんが、気持ちを落ち着けるための書き方と、受診の目安に触れます。
健康の不安が「考えすぎ」に育つ仕組み
健康の不安が大きくなるのは、多くの場合、体の違和感という不確実な情報に、頭が最悪の可能性を先回りして当てはめてしまうためだとされています。「疲れているだけ」かもしれない感覚に、いきなり深刻な病名を結びつけ、その一つの解釈にとらわれてしまうのです。
さらに、その心配を何度も頭の中でくり返す「反すう」と、検索を止められない行動が、不安を強めます。検索で見つかるのは、自分に当てはまるとは限らない情報です。それでも不安なときほど、悪い情報のほうが目に飛び込み、想像がふくらみます。体に注意を向けること自体は、自分を守ろうとする自然な働きであり、あなたが心配性だから悪いわけではありません。ただ、その働きが空回りすると、考えすぎのループに入り込んでしまいます。
「事実」と「想像」を書いて分ける
健康の不安が苦しいのは、実際の体の感覚と、頭の中の想像が一つに溶け合っているからです。そこで役に立つのが、書いて分けることです。
紙でもスマホのメモでも構いません。まず、いま感じている事実だけを書き出します。「夕方から胸が少し重い感じがする」——観察できるところまでが事実です。次に、それに対して湧いた想像を、別の行に書きます。「重い病気かもしれない」「取り返しがつかなかったら」。こうして並べると、事実はごくわずかで、大半が確かめようのない想像だったと見えてきます。
**確定していない想像に、事実と同じ重さで振り回されていた。**そう気づくだけで、少し落ち着きます。そのうえで大切なのは、判断が必要なことは頭の中でぐるぐる決めようとしないこと。「気になるなら、後日あらためて医療機関で相談する」と一行だけ決めて、続きは専門家に預けます。検索を重ねても、あなたの頭の中で診断はつきません。
検索の代わりに、書いて閉じる
健康の不安が強いとき、多くの人が検索に手を伸ばします。ところが検索は、安心を求めているのに、かえって新しい不安の材料を運んでくることが少なくありません。ひとつ確認すると、また別の心配が湧き、終わりのない確認のループに入ってしまいます。
そこで、検索したくなったら、その手を止めて、代わりに数行だけ書いて閉じることを試してみてください。「今、胸が気になっている。怖い。でも今夜は判断できない。気になるなら受診する」。そう書いて画面を閉じる。答えを出そうとせず、不安を不安のまま外に置くのがコツです。夜のあなたの仕事は、診断をつけることではなく、頭の中のものをいったん降ろすことだけです。
受診を考えたほうがよいサイン
まず前提として、気になる症状そのものは、自己判断で決めつけず医療機関で相談するのが基本です。書いて落ち着けることと、必要な受診をためらうことは別です。強い痛みや急な変化、いつもと違うと感じる症状があるときは、遠慮なく医療機関を受診してください。
そのうえで、検査で問題がないと言われても不安が消えない、確認や検索がやめられない、そのために眠れない・生活や仕事に支障が出る——こうした状態が続くときは、心療内科や精神科などの専門家に相談する目安とされています。不安そのものへの相談は、決して大げさなことではありません。
「呪い」の形でも、吐き出していい
前向きに考えよう、気にしないようにしよう——そうした作法が、健康の不安には効きにくい日があります。怖くて仕方ないときに「大丈夫だよ」と言われても、かえって置いていかれた気持ちになるものです。
呪い日記は、そんな日のためのアプリです。きれいごとにせず、体への不安や恐怖を、そのままの言葉で吐き出してよい場所として作りました。書いた言葉は誰にも見られず、あなたの中だけにとどまります。頭から離れない不安を、今夜のうちに言葉にして、いったん外に置いてしまいましょう。そのうえで、気になることは明るいうちに専門家へ。
参考文献
- ジェームズ・W・ペネベーカー『オープニングアップ 秘密の告白と心身の健康』(余語真夫 監訳、北大路書房、2000年)。つらい経験や感情を文章に書き出す「筆記開示」の効果に関する古典的研究。
FAQ
よくある質問
Q.ちょっとした不調で「悪い病気かも」と考えすぎてしまうのはなぜですか?
体の違和感という不確実な情報に対して、頭が最悪の可能性を先回りして描き、それを何度もくり返し考えてしまうためだとされています。検索してさらに不安な情報を見つけると、想像がふくらんで確信のように感じられ、堂々巡りから抜けにくくなります。体に注意を向けるのは、自分を守ろうとする心の働きでもあります。
Q.健康の不安で検索が止められないときはどうすればいいですか?
気になっている症状の「事実」と、それに対して湧いた「悪い病気かも」という想像を、紙やスマホに分けて書き出してみてください。検索して次々に情報を追うより、頭の中にあるものを一度外に出すほうが、想像のふくらみを止めやすいとされています。判断が必要なことは、後日あらためて専門家に確認すると決めて、いったん書いて手放します。
Q.健康の不安を書き出すと本当に落ち着きますか?
頭の中で漠然と巡る不安を言葉にして書き出すと、感情が自分の外側にある眺められるものに変わり、距離を取りやすくなるとされています。健康の不安はとくに「確かめようのない想像」で大きくなりやすいので、事実と想像を書いて分けるだけでも、抱える重さが変わることがあります。
Q.健康の不安が強くて日常生活がつらいときはどうすればいいですか?
気になる症状そのものは、自己判断で決めつけず医療機関で相談するのが基本です。そのうえで、検査で問題がないと言われても不安が消えず、確認や検索がやめられない、眠れない・生活に支障が出るといった状態が続くときは、心療内科や精神科などの専門家に相談する目安とされています。ここで紹介する方法は日常のセルフケアであり、診断や治療に代わるものではありません。
この記事を書いた人
三森 捷暉みつもり かつき
株式会社スリスタ 代表/ドヤマーケAI 運営
実務で使えるAIサービス群「ドヤマーケAI」を運営し、記事・広告・営業・人事からAI検索可視化までを手がける。YouTubeチャンネル『SaaSは死にましぇん』を発信。感情を書いて手放すアプリ「呪い日記」の企画・開発者。
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